・TemuとSheinが米国の小口免税制度縮小に対応し、中国直送から米国内・メキシコ拠点の「ローカル・ツー・ローカル」モデルへ物流網を急速に移行している。
・2026年3月時点でTemuの米国向け配送の45%以上が北米内の保税倉庫経由となり、配送日数は3〜5日へと大幅に短縮された。
・物流コストは上昇しているものの、AIによる需要予測や倉庫ロボットの導入で効率化を図り、強固な市場シェアを維持する構えを見せている。
背景
長らく越境ECの成長を支えてきた米国の「デミニミス(小口免税)」制度が、今大きな転換点を迎えています。
これまで、中国から直接消費者に配送される低価格商品は関税の対象外でしたが、米政府による規制強化は避けられない流れとなりました。
この状況下で、TemuやSheinといった巨大プラットフォームは、従来のモデルを維持することがもはや不可能であると判断しました。
関税コストの増大や通関時の遅延は、顧客体験を低下させる致命的なリスクです。
そこで彼らが選択したのは、単なる配送の最適化ではなく、供給網そのものを米国市場に深く根付かせるという大胆な構造改革でした。
現状の分析
データを見ると、その変化の凄まじさが浮き彫りになります。
2024年末には15%未満だった米国内・メキシコ拠点の配送比率が、2026年3月には45%を超えました。
これは、従来の「中国からの直送」を主軸としたビジネスモデルの完全な終わりを意味します。
各社はUPS等の大手配送業者や地域特化型の配送ネットワークと連携し、ラストワンマイルの安定化を図っています。
一方で、倉庫の維持費用や人件費により、一梱包あたりのコストは平均12%上昇しました。
それでも両社がこの戦略を強行するのは、物流ロボットや予測型AIを駆使して在庫を最適化すれば、長期的な顧客維持コストを下げられると確信しているからです。
配送日数が3〜5日に短縮されたことは、消費者にとってはもはや中国系ECではなく、国内配送のECと遜色ない利便性として受け入れられています。
日本市場への示唆・今後の展望
この動向は、日本を含む世界市場の越境EC事業者にとって極めて重要な先行指標となります。
特に「資産を持たない直送モデル」から「ローカル在庫を持つアセットヘビーなモデル」への移行は、物流テックへの投資なしには実現できません。
今後、越境ECが勝ち残るための条件は、価格競争力だけでなく、どれだけ迅速かつ確実にローカル在庫を管理できるかにシフトしていくでしょう。
日本市場においても、将来的な規制変更を見据えた場合、同様の倉庫分散や国内物流網との統合が求められるはずです。
中国発の巨人が見せるこの物流の高度化は、単なるコスト増の吸収ではなく、グローバル供給網の新たなスタンダードを構築する動きと言えます。
我々も、この物流テックの進化を静観するのではなく、テクノロジーをどう現場に落とし込むかという視点で、ビジネスのあり方を再定義すべき時期に来ています。
出典元: TechCrunch


