・米国政府の輸入規制強化を受け、TemuとSheinが中国直送モデルから米国内拠点活用への戦略転換を断行。
・Temuは米国内倉庫に12億ドルを投資し、注文の65%を米国内在庫から配送する体制を確立。
・物流コストは上昇するものの、配送スピードの向上によりAmazonなどの既存大手と正面から競合する構え。
背景
長らく越境ECの急成長を支えてきた米国の「デミニミス(少額免税)」ルールが、岐路に立たされています。
これまでTemuやSheinは、中国の製造拠点から直接小口配送することで、関税を回避し圧倒的な低価格を実現してきました。
しかし、米国の「2026年越境説明責任法」の成立により、この抜け穴は事実上塞がれつつあります。
かつての「安くて速い」という既得権益が崩壊する中、両社は生き残りをかけて大胆な軌道修正を余儀なくされました。
もはや彼らは単なる海外のECプレイヤーではなく、米国内の小売市場に深く根を下ろす存在へと進化を遂げようとしています。
現状分析
直近のデータは、この劇的な変化を鮮明に物語っています。
2025年第4四半期の時点で、Temuの配送の65%が米国内在庫から行われており、わずか1年で15%から劇的に増加しました。
具体的には、中西部やテキサス州に巨大なフルフィルメントセンターを構築し、Flexportなどの3PLプロバイダーと提携することで、商用貨物としての安定した配送ルートを確保しています。
コストは22%ほど上昇すると予測されていますが、それ以上に「2日以内の配送」というAmazonの土俵で勝負できる体制を作ることが、長期的には規制リスクを回避し、市場シェアを維持する唯一の道であると判断したのでしょう。
日本市場への示唆・次なる一手
この動きは、日本のEC事業者にとっても決して対岸の火事ではありません。
物流の効率化が単なるコスト削減の手段から、企業の生死を分ける戦略的優位性へと昇華したことを意味します。
結論として、今後のグローバル競争は「どこで安く作るか」だけでなく、「いかに現地の物流インフラを支配し、顧客体験を最大化するか」という土俵へ移ります。
日本企業は、越境ECの法規制変化を単なる脅威と捉えるのではなく、現地最適化を加速させる好機と見なし、デジタル物流と自動化倉庫を組み合わせたサプライチェーンの再構築が急務となるでしょう。
出典元: TechCrunch

