・TemuとSheinが米国でのローカル・トゥ・ローカル物流を強化し、配送拠点を大幅に拡大している
・少額免税制度を利用した直接配送モデルから脱却し、国内在庫化による関税リスク回避と配送品質向上を図る
・運営コストは増加するものの、長期的成長を優先する戦略が、既存の小売大手との物流競争を激化させている
背景
長らく越境EC業界を支えてきた安価な配送モデルが、いま大きな転換期を迎えています。
これまでTemuやSheinは、少額貨物の関税免除制度であるデミニミス条項を最大限に活用し、中国からエンドユーザーへ直接届けることで圧倒的な価格優位性を築いてきました。
しかし、米国の政策がこの抜け穴を厳しく監視する方向に動いたことで、両社はビジネスモデルの再構築を迫られたのです。
それは単なる物流の効率化ではなく、生存をかけた戦略的ピボットに他なりません。
現状分析
両社がとった戦略は、米国国内のフルフィルメントセンターを急拡大させることです。
Temuは拠点数を倍増させ、シカゴやダラスといった物流の要衝に14か所の大型施設を確保しました。
これにより、個別の小包を航空便で送るモデルから、バルクで輸入し国内でストックするモデルへ移行しています。
運営コストは約22パーセント上昇したという試算もありますが、それ以上に、関税リスクの排除と配送スピードの改善というベネフィットは計り知れません。
特にSheinは、AIを活用した需要予測に基づき、売れ筋商品をあらかじめ国内倉庫に配置する「オンデマンド製造の進化系」を体現しており、ラストワンマイルの体験価値を劇的に向上させています。
日本市場への示唆・次なる一手
この動きは、米国内の小売市場にとどまらず、世界中のサプライチェーンに警鐘を鳴らしています。
結論として、安さだけを追求する時代は終わりを告げ、今後は「国内在庫×AI需要予測×高効率ロジスティクス」を組み合わせたハイブリッドモデルが勝負の鍵となります。
日本企業にとっても、越境ECの甘い果実が規制によって摘み取られる未来を想定し、物流のローカル化を見据えた投資判断が必要です。
アマゾンやウォルマートですら防戦を強いられるなか、我々も次世代のロジスティクス競争へ備えるべき時が来ています。
出典元: TechCrunch

