・TemuとSheinが米国の厳格化する関税対策を回避するため、米国国内の倉庫容量を前年比約45%増強した。
・従来の小口空輸から、海上輸送によるバルク在庫管理へのシフトにより、配送時間を48時間以内へ短縮した。
・現地物流拠点の構築により「資産軽視型」から「配送効率重視型」へ戦略転換し、競合の国内小売店と競合する局面を迎えている。
背景
かつて越境ECの勝者は、圧倒的な価格競争力と小口配送のスピードを武器に急成長を遂げました。
特にTemuやSheinが享受してきた800ドル以下の免税枠(デミニミス・ルール)は、物流コストを極限まで抑えるための不可欠な生命線でした。
しかし、米国の通商当局による監視の目は急速に厳しさを増しており、もはや従来の「直販・直送」モデルだけで安泰を維持することは不可能です。
今、両社は岐路に立たされています。
規制の網をすり抜けるだけでなく、消費者が求める「翌日配送」という高い期待値に応え続けるため、これまでのビジネスモデルを根本から見直す決断を迫られているのです。
現状分析
Xenetaのデータが示す通り、両社は米国国内の倉庫を急ピッチで確保し、海上輸送でバルク在庫を送り込む戦略に切り替えました。
これは単なる配送の最適化ではなく、将来的な関税賦課を見越した「防衛戦」の側面が強いといえます。
具体的には、オハイオやテキサスに3PL拠点を構築することで、UPSやUSPSといった国内主要キャリアとの連携を強化しました。
これにより、かつては数週間かかっていた配送時間を大都市圏で48時間以内まで短縮することに成功しています。
一方で、これまでの資産軽視型ビジネスから、高額なオペレーションコストを伴うモデルへの転換は、両社の利益率に少なからず影を落とす可能性を秘めています。
日本市場への示唆・次なる一手
この動きは、日本企業にとっても決して対岸の火事ではありません。
TemuやSheinが国内物流網を確立することは、結果としてAmazonやWalmartといった現地の巨人たちと全く同じ土俵で戦うことを意味します。
価格競争力という最強の武器が薄れる中、両社は今後、顧客体験の向上と供給の予測可能性で勝負することになるでしょう。
日本国内の物流事業者やECプレーヤーにとっては、こうした「海外プラットフォーマーの国内拠点化」が物流インフラに与えるインパクトを注視する必要があります。
結論として、これからの越境ECは「いかに規制を回避するか」から「いかに現地サプライチェーンを制御できるか」という新たなフェーズへと確実に移行しています。
出典元: TechCrunch

