・TemuとSheinがメキシコ北部に大規模な物流拠点を新設し、米国向け配送の戦略的転換を断行。
・USMCAを活用したバルク配送と国内倉庫化により、配送時間を3~5日に短縮し規制リスクを回避。
・総額12億ドルの投資とAI自動化による供給網の強化は、既存の小売物流ネットワークの再編を迫る動きとなっている。
背景
近年の越境EC市場において、中国発のメガプラットフォームであるTemuとSheinの躍進は、もはや無視できない存在となりました。
しかし、彼らのビジネスモデルの根幹であった米国の小口輸入特例制度「デミニミス条項」に対し、ワシントンでは規制強化の動きが加速しています。
このままでは収益性に直結する配送スピードとコスト効率を維持できない。
そんな危機感を背景に、両社は米国の裏庭とも言えるメキシコを拠点とする大胆な転換点に立ちました。
現状分析
両社がとった戦略は、直接空輸という従来モデルを捨て、メキシコに巨大なマイクロフルフィルメント拠点を集積させることでした。
具体的には、中国から一括で貨物をメキシコへ送り込み、そこを保税倉庫として活用することで、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の利点を最大限に享受しています。
驚くべきは、この拠点が単なる通過点ではないという点です。
最新のAIによる需要予測とロボティクスを駆使し、米国消費者の手元に届くまでのリードタイムを3~5日にまで短縮しました。
18ヶ月間で12億ドルという巨額の資本投下は、単なる物流の最適化ではなく、米国内のサプライチェーンの一部をメキシコに「再配置(ニアショアリング)」するという意志の表れです。
日本市場への示唆・次なる一手
この動きは、日本国内の物流事業者やECプレーヤーにとっても他人事ではありません。
結論として、国際物流のルールが政治的な駆け引きによって絶えず変化する現代において、特定のルートに依存するモデルはすでに限界を迎えています。
今後は、配送拠点そのものを地政学リスクに合わせて機動的に変更する「物流の弾力性」が企業の生死を分けるでしょう。
米国の規制当局は、この回避策を封じるための新たな法案を準備しており、今後さらなる激しい攻防が予想されます。
越境ECの勝者は、物理的な配送網をいかにデジタル技術で統合し、国境という概念を無力化できるかにかかっています。
日本企業もまた、地域単位での最適化から、より高度なグローバルサプライチェーン・マネジメントへのシフトが急務といえるでしょう。
出典元: TechCrunch


