・TemuとSheinが米国での関税免除措置の縮小を受け、中国直送モデルから北米国内の倉庫網を活用した国内配送モデルへ戦略を転換した。
・Temuは1,200万平方フィート超の倉庫を確保し、海上輸送と国内拠点配送を組み合わせることでコスト優位性を維持しつつ配送を高速化している。
・Sheinは米国の小売業者と提携するエコシステムを構築し、高単価かつリピート率の高い層を取り込むことで、AmazonやWalmartの領域へ本格的に進出している。
背景
米国の通商政策は、小口貨物の関税免除規定であるデミニミスへの監視を急速に強めています。
これまでTemuやSheinのような中国発のプラットフォームは、低価格の個口配送を主軸として急成長を遂げてきました。
しかし、2026年初頭の法改正によってその恩恵が限定的になり、従来の空輸による直接配送モデルはコストとスピードの両面で限界に達しました。
これを受け、両社は生き残りをかけた根本的な物流戦略の刷新を余儀なくされています。
単なる越境プレイヤーから、米国のサプライチェーンに深く根を下ろした国内物流企業へと脱皮を図っているのが現状です。
現状の分析
両社の動きは極めて合理的かつ大規模です。
Temuはメンフィスやダラスといった主要な物流拠点を中心に、累計で1,200万平方フィートもの広大な倉庫スペースを確保しました。
これは、かつてのような「中国からどれだけ早く送るか」という競争ではなく、「いかに効率的に国内在庫を補充し、ラストワンマイルを最適化するか」という、既存の巨人たちと同じ土俵での勝負への移行を意味します。
海上輸送を軸にすることで物流コストを大幅に抑制し、かつ国内拠点を利用することで配送スピードを向上させるという二段構えの戦略です。
この結果、平均注文単価が18パーセント上昇するなど、以前は納期を懸念していた高単価層の取り込みに成功しています。
Sheinにおいても、米国内の中小小売業者500社以上を物流網に統合するパートナーシップを拡大しており、外部のインフラを取り込むことで自社のロジスティクスをより強固なものへと昇華させています。
日本市場への示唆・今後の展望
この動きが示唆するのは、越境ECと国内ECの境界線の完全な消滅です。
2027年までには、これらプラットフォームの米国市場での依存度はデミニミス枠から完全に切り離されるでしょう。
日本市場においても、将来的に同様の規制強化や物流コストの高騰が発生した場合、同様の戦略転換が求められるのは時間の問題です。
特に国内メーカーやEC事業者は、単なる商品の質だけでなく、自社物流のネットワーク網がいかに強靭であるかという点での競争を迫られます。
AmazonやWalmartといった巨大な国内プレイヤーとの直接対決が避けられない中、テックを活用した在庫の最適化と物流のローカル化は、今後のグローバル小売戦略において避けて通れない重要課題となるはずです。
出典元: TechCrunch

