・吉利と百度のApollo Goが、車両のハードウェアを共通化する「Open-Chassis (OC-1)」規格を立ち上げ、ソフトウェア主導の自動車開発へ転換。
・車両のステアリングやブレーキ、センサー等を標準化されたAPIで公開し、世界中の開発者が参入可能な「自動車版Android」の構築を目指す。
・2026年Q4の量産開始を見据え、 CATLやHesaiなどの大手サプライヤーと連携し、ロボタクシー市場のシェア15%獲得を狙う。
背景
長らく自動車産業は、各社が独自のブラックボックス化したシステムを構築する「ハードウェア中心の垂直統合モデル」の牙城でした。
しかし、スマートフォンの普及が世界を変えたように、自動車もまた移動するデバイスへと変貌を遂げようとしています。
かつてAppleがモバイル市場でOSを制覇したように、次なる勝負所は「誰が車両の基本ソフトウェアを支配するか」に集約されつつあります。
吉利と百度が発表したOC-1規格は、この地殻変動を象徴する決定的な一歩といえるでしょう。
現状分析
これまで、既存の欧米OEM各社は独自のソフトウェアアーキテクチャに縛られ、アップデートや外部連携において大きな負債を抱えてきました。
一方で、中国OEMはハードウェアをモジュール化し、AIやクラウド基盤と高度に融合させることで、全く新しいエコシステムを作り上げています。
OC-1は単なる規格ではなく、データ主権に配慮したモジュラー型の設計を採用しており、欧州や東南アジアなど各地域の規制に対応しながらグローバル展開が可能です。
さらに、CATLやHesaiといった強力なサプライヤーを巻き込むことで、中国勢は単なる自動車製造業から、モビリティOSを販売するプラットフォーマーへと急速に脱皮しています。
日本市場への示唆・次なる一手
結論として、この動きは日本の自動車メーカーにとって、従来の「擦り合わせの技術」だけでは太刀打ちできない脅威となります。
日本の強みであるハードウェアの緻密さは重要ですが、ソフトウェアをコモディティ化し、世界中の開発者から知恵を借りる「オープン戦略」への転換が急務です。
今後は車両開発を個社で完結させるのではなく、いかにして競争領域と協調領域を見極め、世界標準のOS上に自社の価値を積み上げられるかが問われます。
グローバル市場で生き残るためには、中国のスピード感あるエコシステム構築を単なる脅威として捉えるのではなく、その標準化の波をいかに自社のグローバル戦略に組み込むかという、より高い視座での意思決定が求められています。
出典元: SCMP

